奈良の大仏や梵鐘はどうやって鋳造されたのか、現代の自動車エンジン部品等の精密な鋳物の作り方は……など、鋳物に関する知識をわかり易く解説。
著者:加山延太郎
発行:2010.4第29刷(1985.3初版)
出版社:日本規格協会(おはなし科学・技術シリーズ)
形状:B6・225ページ
状態:中古B
送料:クリックポスト185円
〈「発刊によせて」より〉
このたび発刊された加山先生の“鋳物のおはなし”は,鋳物の役割を歴史的に芸術,考古学的かつ科学の分野に立って広く克明に追い続けた書である.特に文章が平易であり,理解と興味の点でも読者に十分な満足感を与えることと思う.特にわが国の奈良時代の絢爛たる仏教文明の興隆悲願を背景とした大仏建立の趣意,巨大すぎる大仏像の設計,鋳造技術,製造日程等の“鋳物のおはなし”は加山先生のお人柄を含めて読者に深い感銘を与えるに十分なものがある.(略)
現代の鋳物はニーズの多様化から製造法,使用材料等も多様化してきた.これらは今後一層精度,高品質等を求められることになろうが,本書はこのことについて簡易,克明に資料を提供している.
加山先生は,自他共に許す鋳鉄の学者である.古い時代,先生の発表論文や著書には鋳物砂や鋳造方案にもうんちくを傾けておられ,小生なども随分恩恵を披った一人であるが,今はもう“鋳鉄の湯”をひとすじに愛し,求めてやまないご日常である.この意味で第4章は先生の最も意を尽されたところであろう.(略)
昭和60年2月 社団法人日本鋳物協会会長 瀧 勇
〈「まえがき」より〉
(略)
鋳物の歴史は古く,その発祥は紀元前4000年にさかのぼります.古代人の知恵によって生まれた鋳物作りの技術が,今日まで生き続け,これにいろいろの新工夫が加えられて,近代化した姿に脱皮したわけです.その経緯は読者の方が興味をいだかれると思いましたので、その解説に相当数の頁をさきました.ここでは歴史的背景も折り込んで、彩りを添えることにしました.次に、現在は鋳物がどんなところに使われているのか、また鋳物はどのようにして作られるのかにご関心をお持ちでしょうから、写真を豊富に取りそろえ
て、ご要望にこたえるようにしました.
第3章の後半あたりから,専門技術のご紹介となります.ここはむしろ鋳物を専業とされる方を意識して執筆しました.一般の方には少し難解かと思いますが,かみ砕いて書いたつもりですから,じっくりとお読みいただいて,鋳物の通となられるよう希望いたします.
(略)
昭和60年2月 加山延太郎
〈目次より〉
第1章 プロローグ
1.金属工業のルーツ
2.金属の成形能について
溶金の低粘度/溶金の高表面張力/固体金属の可
塑性/金属素形材の被削性
3.鋳物の働き
第2章 鋳物の歴史を探る
1.古代中国の鋳物
2.わが国の鋳造の芽生え
3.仏教の伝来と鋳物文化
4.仏像と梵鐘はどのようにして作られたか
大仏の鋳造/小仏像類の鋳造/梵鐘の鋳造
5.東大寺観光
6.平安時代以後の鋳物の変遷
丹南の鋳物師/たたら製鉄/鋳鉄鋳物ノ鋳銭
7.近代化への歩み
第3章 現代の鋳物
1.鋳物の用途ひとめぐり
街で見かける鋳物/家庭で見かける鋳物/生産統
計に見る製品群と鋳物の仲間
2.目で見る鋳型の作り方
3.鋳型材料について
鋳型の基本構成/粘土を粘結剤とする鋳型/シェ
ル鋳型/化学反応によって固まる鋳型/プラスチ
ックが鋳型になる!?
4.鋳型製作の機械化
機械化造型はつねに可能か/外型用造型機の
数々/中子造型機/外型造型を終えてから鋳込み
での操作
5.湯口と押湯
湯口方案/押湯方案/超大型鋳物の造型と鋳込み
6.特殊な鋳造法
Vプロセス/フルモールド法/精密鋳造(ロスト
ワックス)法
第4章 鋳物の主役“鋳鉄”
1.鋼と鋳鉄
2.鋳鉄の組織変化について
3.鋳鉄の種類と性質
ねずみ鋳鉄(片状黒鉛鋳鉄)/球状黒鉛鋳鉄/゙
CV鋳鉄/白鋳鉄/可鍛鋳鉄
4.鋳鉄の溶解法
溶解法の基本的考え方/キュポラ溶解法/低周波
誘導電気炉溶解法
第5章 エピローグ
1.鋳物の泣きどころ
2.新技術の開拓に期待
引用・参考文献
索引
イラストレーション 文殊四郎 義博